おとのば

XIIX「White White」感想など

まえがき

モノクロかと思ってたら、様々な色を出すオシャレなジャケットだった。


まるで、XIIXの音楽性を映し出してるような……


さて今回は、そんなXIIXが1/22にリリースしたアルバム「White White」について感じたことをつらつらと書いていく。
先にお伝えしたいのだが、私は雑誌やラジオなどの彼らの話を全て網羅できてはいません。それだけはご了承くださいませ。


XIIX 1st ALBUM「White White」クロスフェード

各曲について

White White

インスト。作曲、アレンジともに須藤が担当とのこと。所々入る歌声は聞き覚えのある斎藤の声とは程遠いものに感じた。
そして、私が特に須藤アレンジの魅力が感じられたのは、水の音が綺麗に音楽に入り込んでいるところだった。

Stay Mellow

MVが公開された時点でこの曲の変態っぷりが明らかになっていたが、歌詞を見るとさらにその変態性が増すのだ。
そして、記念すべきデビューアルバムの第一声が、

煩わしさなんて感じた

である。直後に打ち消す言葉が続くとはいえ、いきなりネガティブな言葉から始まるのには個人的に驚いた。
この曲は、人間の内にある変態性を歌ったような歌詞だが、斎藤自体が、内に秘めているものを大っぴらに外に出すタイプのミュージシャンではない。この歌詞を見ていても内のものの答えが出てこないし、内のものを何かで隠し、”作った素顔”にしているように感じた。
サウンドで言うと、ピアノの音が色気を増す。SK3で共演の渡辺シュンスケさんが弾いてくださっているのもポイント。


XIIX 「Stay Mellow」

余談だが、この曲の歌詞に登場する”動物の森”でゲームのどうぶつの森が連想されてしまい、頭の中でのほほんとした世界観が一瞬生まれてしまうのであった…

Light & Shadow

イントロは打ち込みだと思いきや、ストリングスだそう。
弦楽器をやっていたわけではないが、あの速さを弾きこなすのも容易ではないのは分かる。そういった意味でも、ストリングスアレンジ初挑戦の須藤はだいぶ攻めているなという印象だ。
途中、コインが回転している音が加わる。前述の水の音もだが、生活に出てくる音を音楽に組み込む技もおしゃれである。曲前半がアップテンポで、そういう曲か。と思って聴いていたにも関わらず、後半でストリングスの音の伸びが綺麗に響き渡る落ち着いた曲調に変化するところが個人的お気に入りポイントだ。
歌詞については、斎藤がインタビューで「歌詞で結論づけなくていいんだと気付けた*1」と語っていたが、その通りで、書き手が、聴き手がどうするか断定する言葉で締めていない。

一瞬の きらめきになれたら
(誰の目にも 測れずに)

といった感じ。希望をもたせた言葉で締める。

個人的に”一瞬”という言葉に考えたことがあるので、E△7でまとめて語ろうと思う。

XIIX 「Light & Shadow」

Fantome

イントロの口笛が気になる曲。ライブではどちらかが実際にやるのだろうか…
ギターもベースも落ち着いた音を鳴らす。静かな場所で、紅茶でも飲みながらのんびり聞きたい曲だな~と思っていたのに、歌詞でやられるのであった…
そんな私がこの曲でやられた箇所がこちら。

あなたを 台無しにしてみたかったな

斎藤の甘い声でこんなことを言われてごらんよ。もう立ち上がるすべがないです。

Answer5

SK's Sessionで演奏していたとのことだ。というのもあり、作曲は斎藤単独である。
クロスフェードが公開された当初、この曲ではギターソロの部分が選ばれていた。クロスフェードの音編集は斎藤が行ったとのことだが、この曲のギターソロは本人的にもお気に入りなのだろう。
この曲も、”誰だ?”と問いかける歌詞が多用されているが、答えは出ていない。聴き手ごとにこの曲の”Answer"は異なるはずだ。

LIFE IS MUSIC!!!!!

遊び心がある曲だなぁという第一印象だった。生活音が入っていたり、随所に音楽用語が入れ込まれていたり。
最初の咳も、ライブでやるのか?なんて想像を膨らませている。この曲はきっと、このバンドで長く演奏され続けていく曲になるだろうなと勝手ながら感じた。

5:03 PM、夕映えに紛れて

この季節の5:03といえば、日が沈み、暗い空と夕日の名残があってオレンジ色をなしている空が入り混じっている時刻だ。
前向きな感情と、後ろ向きな感情が混ざる。前向きな温かい感情を出しつつも、これからは、内に秘めていた冷たい後ろ向きな感情を出す夜の時間だ。
そんなイメージを私はもった。

さて、この曲では、2本のギターの音を重ねているが、ライブではどう表現するのか。楽しみである。

E△7

こちらもSK's Session3で演奏されていたとのこと。私も行っているが覚えていなかった…。だが、聴けば聴くほど懐かしさが出てくる不思議な曲である。
この曲は、サビで転調しているがそれ以外のキーはEであり、イントロの最初のコードがこのE7なのかな?なんて考えた。あくまで個人的主観ですが…。
あまりユニゾンと比べることを良しとしないケースもあると思うが、この曲についてはユニゾンのある曲の歌詞が頭をよぎった。

何かが変わりそう(UNISON SQUARE GARDEN)

その一瞬を奏でるのに どれだけの犠牲がいるんだ

である。昨年15周年を迎えたユニゾン。15周年をあれほど派手に、油断して迎えることができたのは、それまでの時間があってこそであり、だからこそ、”どれだけの犠牲がいるんだ”という歌詞を歌うことに感動する。
田淵が書いたその歌詞を歌い続けてきた斎藤はXIIXでこのように歌う。

Light & Shadow

それでも一瞬の きらめきになれたら

この一瞬だけ目をそらさないでいて

これまでの過程も大事だが、それは一旦置いといて、今、目の前でXIIXとして音楽をやっているこの瞬間をとにかく見ていてほしいというメッセージのように受け取れた。

XXXXX

須藤が、「こんな曲を歌ったらおもしろいんじゃないか?」と斎藤に投げたボールらしいが、まさにこれまでユニゾンを聴いてきた人にとっては新しいサウンドかもしれない。ボーカルの声色も新鮮だ。

no pain no gain?
time flies like an arrow?
It's not too late?
dream comes true?

日本語で直訳すると「痛みも得もない?矢のように時間は過ぎる?遅すぎることはない?夢はかなう?」となる。34歳で新人、メジャーデビューというこのバンドを表してるような歌詞という印象。はじめは”本当かね?”と疑っているも、最後は”本当かも?”と希望がもてる形に変化するのも面白い。

4:43 AM、曙空をみつけて

ベースのインスト、ベースと歌のみの曲となる。
4:43なんて、この時期まだ真っ暗である。でも、これから朝日が昇り、一日が始まる。先ほど、「夕映えに紛れて」で、後ろ向きな冷たい感情が表に出る夜と表現したが、その冷たい感情の後ろから再び、温かみのある前向きな感情が顔を出す。”遠くに灯った 茜色をみつけ”たから。

ilaksa

イラクサとはなんぞや?と思ったので調べてみました。こちらフリー素材です。

うん、トゲトゲしている。
斎藤は、この曲を1番最後に作ったのもあり、このアルバムを作った感想を歌詞に込めたと話している。
この曲については、下の脚注の記事を見るのが手っ取り早いと思う。
個人的に、サビ前の"僕らこれ以上何ができたっけ""何を歌えたっけ"の部分、音程が上がっていく感じが好きだ。

Saturdays

最後にふさわしい落ちついた、それでいて世界が広がるようなサウンドの曲だが、個人的にはライブの1曲目に来てもいいなぁ……と思った。
ちなみにフリージア花言葉「あどけなさ」「純潔」「親愛の情」である。"無口な"という修飾語がついているが、春が来て、歌詞のごとく遠くへ遠くへ行く中で、花言葉のあどけなさが出てくるようなイメージなのかなと思った。

まとめ

聴く前は、14曲って多くない?と思っていたが、そんなことは無く、あっという間に時間が流れてしまうくらい聴きやすいアルバムだった。時間的にも43分と、さほど長くないようだ。
そして全体を通して気付いたのが、ハモる形のコーラスがないということだった。というのもあり、ボーカル斎藤の声がストレートに耳に入ってくる。
これが、今までの活動との決定的な違いかもしれない。私はどちらも好きだけどね。

いよいよ、週明けには彼らにとって初めてのライブとなる。このアルバムをどのような形で表現するのか、今からとても楽しみである。